デザインと音楽の共通点
ちょっと思いついた話をさせていただきます。
私は最近youtubeで音楽を聴きながら仕事をしているのですが、「YOASOBI」にはまっています。
「最近流行の曲〇○」というようなサイトをよく聴いています。
最初聴き始めた時は「YOASOBI」と「Ado」の区別がつかなかったのですが、最近その理由に思い当たることがありました。
というのは、両者に共通するのは「ボカロP」と呼ばれる作曲方法をとっている点です。(まあ私のような素人が言っていることですので、もし詳しい方がいらっしゃったら読み飛ばしてください)
つまり、コンピュータで作曲し合成された音声で歌を歌わせてるということになるのですが、一つ特徴があります。
それは、ある大物歌手が語っていたことなのですが「息継ぎができなくて歌うのが難しい」ということです。つまりギターやピアノを使いながら肉声で作った曲は自分が歌いやすいように作ってしまう可能性があるということです。息継ぎができるように作らなくてはならないというバイアスがかかるのですね。コンピュータだと今までにない、人間が歌えない(歌いづらい)曲が作れるということです。
私が両者を似ていると感じたのは、今までにないメロディーのつながりからだったのではないかと思います。
さて、ここからはデザインの話しとなります。
20年位前に私が東京でショップを運営していた時に、アルバイトの面接を行うことがありました。
その時ある応募者は「家具を製作する技術を身につけた上で、作り方を理解したデザインをしたい」と言っていました。それに対し私は「デザインは作り方を意識しない方が良い」という言い方をしてしまい、その方は憮然として帰ってしまいました。
余計なことを言う必要はなかったのですが、自分が作りやすいということに引きずられると、良いデザインができないと思ってのことでした。
私の考える良いデザイン(かっこいいデザイン)は、一言で言うと構造的な条件が見えないシンプルなもので、「どうやって作ったのだろう」と思わせるものであると言うことができます。
デザイナーの小泉誠さんとご一緒させて頂くことが良くあるのですが、小泉さんの家具図面には構造的な指示は一切ありません。始めは「どうやって作るか指示しないのかな?」と思っていたのですが、そこは作り手側に任せるて自分はフォルムの美しさを追及するという点が良いのだと今は分かります。
私が伝えたいデザインと音楽の共通点ですが、どちらも「作りやすい」「歌いやすい」ものでは価値がないということです。もちろん「作りやすい」「歌いやすい」という価値もあるのですが、われわれプロフェッショナルからすると、今までになかった新しい価値を作り出すことが仕事だと考えます。