インテリアのノウハウ

『デンマーク・デザイン』展より

東北歴史博物館にて『デンマーク・デザイン』展が開催されました。
思っていたよりもたくさんの家具が展示されており、また写真撮影や実際に座れるものもありました。
展示会の様子をご紹介するとともに、アンダイなりに少しこれらの家具について触れてみたいと思います。

なおデザイナーや商品の名称に関しては、博物館の表示でなくアンダイに置いてある『デンマークの椅子』織田憲嗣著による表示のほうが一般的かなと思いこちらに統一いたします。

入ってすぐは食器(ロイヤルコペンハーゲン)等の展示でしたが、その奥に早速コーア・クリントの家具が展示されていました。『レッドチェア』もあります。
まずはデンマーク近代家具デザインの父からということでしょう。
しかし残念ながらこのコーナーは撮影禁止となっております。

その奥にはアルネ・ヤコブセンデザインの壁紙があり、更にハンス・ヨルゲンセン・ウェグナーの『ピーコックチェア』や『Yチェア』が並んでいます。ここも撮影禁止だったのでいくつか抜けがあるかも知れません。ご了承ください。

その奥には、ヤコブセンの、『エッグチェア』『スワンチェア』『アントチェア』『セブンチェア』が並んでいます。成型合板のものとしては、ヤコブセンの学童デスクがかっこいいと思いました。(残念ながら撮影禁止です)

さて成型合板が並んでいたので、その素材を確認してみました。
やっぱりブナが多いですね。ブナは散孔材で割れづらいため成型合板に多用されます。(他にはカバとか)
でもチークというのも何脚かありました。チークは環孔材なのですが?表面材としてだけなのでしょうか?共芯かどうかは分かりませんでした。
まあ、今どきはチークを素材で輸入するのは難しいと思うので私が商品化することはないのですが、ちょっと気になります。

そして、その奥は写真撮影可のスペースです。

1.東北歴史博物館のエントランス

2.パントン作品の展示スペース

3.フィン・ユールやカイ・クリスチャンセン他の展示スペース

まずは右側にヴェルナール・パントンのコーナーです。(私的にはヴァーナー・パントンのほうががなじみ深い)
ここには、チラシにも映っている『ハート・コーンチェア』が中央に、左右に『パントンチェア』と『271F』が置かれています。
パントンチェアとかは最近、リプロダクトやジェネリックと称して偽物が売られていますね。
アンダイの前身カギロイでもパントンの商品(本物)を売っていました。『タタミチェア』と『リラクサー』です。
ちょっとマイナーですがご存じないでしょうか?

レゴでできたハートコーンチェア
@ロビー

リラクサーチェア@カギロイ
(なつかしい)

タタミチェア@カギロイ
(これもなつかしい)

左側には大好きなフィン・ユールの『モデル137』と『FD532』のテーブルがありました。
『チーフテンチェア』『FJ46』『FD192』もありましたが、こちらは撮影不可です。
そしてカイ・クリスチャンセンの『モデル161』があって安心しました。(カイ・クリスチャンセンでアンダイにつなげようと思っていたので)
この二人のデザインには共通性がありますね。(なんか椅子の色も似てる)

4.フィン・ユールの『モデル137』

5.テーブルはフィン・ユールの『FD532』

6.カイ・クリスチャンセンの『モデル161』

さてせっかくですのでアンダイで取り扱っているカイ・クリスチャンセンの家具も載せておきましょう。

Paperknife sofa & ottoman

UNI-Rest

UNI-Master

ペーパーナイフソファは人気の高い商品です。またユニレストも人気です。見た目は似てるように見えますが、構造が全く違います。是非座り比べてください。アンダイのお店でご覧になれます。
この商品はリプロダクトではなく、ライセンス商品で日本の徳島で生産しています。プールアニックの田中社長(以前たいへんお世話になりました)がライセンスを取得して宮崎椅子さんが製作しています。
ところで、アンダイに来られたお客さまが以前ご覧になられたアンティークのペーパーナイフと肘の感じが違うと言われていました。私が宮崎社長に確認したところ、肘と脚が別々にくっついていたようなデザインのものを一体化したデザインに変更したとのことで。デザイナーのカイさんも喜んでいたとのことです(カイさんはご存命です)。これはNCルーター等の技術革新の影響も大きいと思います。

さて、次のコーナーにはルイスポールセンでおなじみ、ポール・ヘニングスンのペンダント照明がぶらさがっていましたが、こちらも撮影不可でした。品名も控えていません。ごめんなさい。

その奥にはサルがいました。
カイ・ボイイスンの玩具ですね。写真が取れなかったのでパンフレットをご参考まで。
その裏はダイニングのセッティングとなっており写真撮影ができました。
ボーエ・モーエンセンの『モデル284』と『シェーカーチェア』が中心です。
他に、先ほどのカイ・ボイイスン制作の『木馬』やアルネ・ヤコブセンのポスターが飾られていました

7.ボーエ・モーエンセンの『モデル284』と『シェーカーチェア』

次のコーナーにはナンナ・ディッツェルの『トリニダードチェア』がありました。(撮影不可)
ナンナ・デッツェル&ヨルゲン・ディッツェルの作品としては『スインギングチェア』が有名ですね。そう天井からぶら下がっているやつです。

そして最後は御大ハンス・J・ウェグナーの作品です。
こちらのコーナーでは写真撮影以外に実際にイスに座ることもできました。

8.左からウェグナーの『アームチェア』『ミニマルチェア』『パパベアチェア』

9.ウェグナーの『ザ・チェア』

10.ウェグナーの『ザ・フープチェア』 後はクヴァドラの張地

さて座った感想ですが、やはり「シートハイが高い」「現代の椅子の方が座り心地が良い」と思ってしまいました。ファンの方ごめんなさい。でも今売られているものは改善されているのかも知れませんね。

他に、無垢材の樹種を確認してみましたがほとんどがオーク(おそらくホワイトオーク)でした。他にはアッシュとチークがありましたが、ウォールナットのような濃い色の木材は確認できませんでした。
以前、コンランショップの開発の方とお話をしたのですが、「コンランではホワイトオークしか使わない」と言われたのを思い出しました。

また、『ザ・フープチェア』のバックにはクヴァドラの張地で作ったタペストリーがありました。クヴァドラはデンマーク製の張地ですが、デザイナーや建築家にとても人気があります。アンダイの商品にもクヴァドラ(Hallingdal65です)が張れるものがあります。是非ご覧ください。

以上、デンマーク家具についてのお話&お店の宣伝でした。

この記事を書いた人【インテリアプランナー:鹿野勝則】