インテリアのノウハウ

イスとテーブルの関係

ダイニングセットやデスク&チェアを購入する際に気を付ける点についての投稿です。
ここでは『イスをテーブルの下に入れる」ということに限定してお話します。
イスとテーブルを別々に購入す場合、このことに考えが及ばず「イスが収納できず通路が狭くなった」と思われることがときどきあるからです。
※デザインのテーストや色についての組合せはまた別の機会に書かせて頂きます。

テーブル(デスク)の下の空間を下肢空間(かしくうかん)と言います。
幅:テーブルの脚と脚もしくは脚とパネルの間の何もない部分の距離
奥行:天板の前面から背面までの距離
高さ:天板の裏もしくは引出や貫きの下部(一番低いところ)から床面までの距離

【下肢空間イラスト】

テーブルの下にイスが収まるかは一般的にこの下肢空間に『十分な幅があるか?』『十分な高さがあるか?』を考えることになります。(奥行きは十分にあることが多い)

1.椅子の幅と下肢空間(幅方向)について

デスクで使うように1脚入ればよいということであれば、下肢空間の幅とイスの幅とを比較することになります。
イスの幅は通常上部も下部も同じ場合が多いのですが、肘付きの場合は肘が張り出していることがあります。また回転イスの場合はキャスター部分が座面よりも広がっているため、この部分が入るかを考えることになります。
丸テーブルの場合はまた難しいのですが、角テーブルであれば単純にこの寸法の比較なので難しくありません。
例えば下記の通りです。

『イスの幅:470×2脚=940mm』<『下肢空間の幅:1300mm』
この場合イスが2脚テーブルの下に収まります。

アンダイでは4人掛けのテーブルの幅はW1400~1600程度と考えています。以前はW1200という4人掛けもあったのですが、身体もイスも大きくなっているため今ではW1200では片側2人はきついでしょう。
同じように6人掛けの場合はW1800~2000程度となります(この場合もW1800だと片側3人はちょっときついですね)。
ただ、上記の目安については天板の大きさと動作空間や心理的な距離を考えたものでイスが収まるかはまた別の問題です。

例えば同じW1500のテーブルでも下肢空間は違います。
これは脚の形状や取付位置が商品によって異なるからです。
ご参考までに脚の形状と取付位置のパターンを説明します。

脚の形状

①4本脚

②ロの字脚

③パネル脚

④T字脚

※この他に箱脚や単柱脚というのもありますが、ダイニングテーブルではあまりないので除外します。
 ダイニングでは4本脚が9割以上あるのではないかと思われます。

①4本脚
※フレックスウッドダイニングテーブル
②ロの字脚
※WK06.M-table
③パネル脚
※kitakamiセンターテーブル
④T字脚
※WK39.T-table

取付位置

①天板の隅(ツライチ)

②内方向にオフセット

③外方向にオフセット

①天板の隅(ツライチ)
※WK06.M-table
②内方向にオフセット
※WK42.extensiontable
③外方向にオフセット(ここでは奥行方向のみ)
※MIテーブル

イスを収めるということだけ考えれば幅方向はツライチか外にオフセットできると良さそうです。また、板脚のように横方向の幅が薄いと良いと思います。
アンダイのダイニングテーブルでは『WK06.M-table』が天板の大きさに対して下肢空間の幅が広いようです。

下肢空間の幅だけで比較すると以下のようになります。

●WK06.M-table(W1600タイプ) → 下肢空間の幅:1450mm
●MIテーブル(W1600タイプ) → 下肢空間の幅:1300mm
ただし、アンダイで一番幅が広いUNI-MasterでもW595mmですので片側2脚はどちらも余裕で入ります。

2.肘の高さと下肢空間(高さ方向)について

今度は高さ方向の検証をしてみましょう。
通常ダイニングチェアのシートハイはH400mm~460mm程度と考えられます。
テーブルの高さはH700とすると下肢空間はいくら低くてもH580くらいはあるので、肘がないイスであれば確実に入ります。
問題は肘の高さと長さということになります。
肘の高さは低いものでH600弱から高いものでH660というものもあります。シートハイによって変わりますし欧米向けであれば高くなります。
それから困ったことに肘が背と一体化したものもあります。これは前部はH500程度でも後部はH700台後半になります。天板がH700だとすると明らかに前部しか入りません。テーブルの下に入れることはあきらめましょう。※この手のイスはデザイン性が高くゆったり座れるものが多いので、そちらをインセンティブとなさってください。

木製ダイニングテーブルの場合、高さは一般にH700mmです。海外製になるとH720mmというのもありますが割合は少なくなります。
天板の厚みは20mm~40mmくらいでしょう。
H700に天板厚が30mmだと、下肢空間の高さは670mmありそうですがそうはいきません。
多くのテーブルには天板を支えたり脚の強度を増すために貫き(もしくは幕板)というものが天板の下に存在します。反り止めが付く場合もありますし、引出が付くものもあります。
これを入れると下肢空間の高さはかなり低くなります。

天板下の貫き(幕板)の有無

①貫き(幕板)あり
※WK42.extensiontable
②貫き(幕板)なし
※kitakamiワークテーブル

参考までにアンダイで取り扱っているテーブルの下肢空間とイスの肘の高さを下に示します。

【下肢空間の高さ】
   ①kitakamiワークテーブル :H673mm
   ②WK06.table :H650mm
   ③WK42.extensiontable :H595mm
   ④FREXウッドテーブル :H623mm
   ⑤MIテーブル :H613mm(ただし奥行205mmまではH670mm)

【肘の高さ】
   ①ottimoアーム :AH600mm
   ②UNI-Master :AH650mm
   ③WK36.W-armchair :AH588mm
   ④FREXアームチェア :AH610mm
   ⑤VIOLAセミアーム :AH625mm
   ⑥kitakami曲木チェア :AH600~700mm(傾斜型)
   ⑦C-chair背無垢 :AH550~660mm(傾斜型)

上記より、『WK42.extensiontable』の下に『WK36.W-armchair』が収まることが分かります。
また『FREXウッドテーブル』の下に『FREXアームチェア』が収まることも分かります。
つまり同じメーカーの商品であればアームチェアも収まるように考えられているということです。

一方で、『kitakamiワークテーブル』のように貫きがないタイプであれば、たいていの肘付きイスが収まるということも分かりますね。

ご参考までに一番下肢空間の高さが低い『WK42.extensiontable』にいくつかのイスを合わせてみました。

HAKU(アームなし)
WK36.Arm-chair
kitakami曲木チェア
VIOLAセミアームチェア
Cチェア背無垢
UNI-Master

収まりとしては以下の順番ですね。

1.肘なし=肘が下肢空間より低い > 傾斜型=セミアーム > 肘が下肢空間より高い

以上、テーブルの下肢空間とイスについていろいろ書いてきましたが、個人的には「絶対にテーブルの下に入らないといけない」ということではないと思います。
座り心地の良いものが一番です。
ただし、どうしても狭くなるのは気になるという方は上記をご参考になさって、組み合わせを考えてみてください。
実物はショップでご確認いただけますが、遠くの方はオンラインで検証も可能です。
contactにお知らせください。

以上、ありがとうございました。

【インテリアプランナー:鹿野勝則】

『イスの選び方』に関してはこちらをご覧ください。